パンデミックとアウトブレイク
パンデミックとは?
パンデミックとは感染症などの疾患が世界規模で同時期に流行することを言います。また、あるいはその疾患そのものを指し場合もあります。
パンデミック(PANDEMIC)の語源はギリシャ語で、「PAN」は「全て」、「DEMIC」は「人々」を意味しており、近年のニュースなどで耳にするパンデミックはインフルエンザパンデミックを指すことがほとんどです。
アウトブレイクとは?
アウトブレイクといえば、ダスティン・ホフマン主演の映画『アウトブレイク』('Outbreak'/1995年/アメリカ)を真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
1967年アフリカ、ザイールのモターバ川流域で内線に参加していた兵士の間で原因不明の出血熱が流行し多数の死者を出した。調査で現地を訪れたアメリカ陸軍は想像以上の感染に驚愕し、感染者の血液を採取した後、部隊のキャンプを爆弾の投下で壊滅させ隠匿した。それから時は流れ、再びモターバ川流域の小さな村で未知のウイルスによる出血熱が発生する。このウイルスがやがてアフリカからアメリカに持ち込まれ、非常に致死性の高いウイルスによって未曾有の「アウトブレイク(爆発的な感染)」が始まってしまう。
この「アウトブレイク」という言葉は医学・医療の分野における疫学用語で、たちの悪い流行病や感染症の突発的発生を指して使われます。定義としては、一定の期間内に、特定の地域/特定の集団(人間)の中で、予想をはるかに超える規模の感染症が発生することを指す言葉です。
パンデミックとアウトブレイクの違い
では、「パンデミック」と「アウトブレイク」はどのように使い分ければいいでしょうか?
概念はとてもよく似ている言葉ですが、使い分けに明確な境界があるわけではありません。ただ、「アウトブレイク」は限られた範囲における感染の流行を指していることから「集団発生」などと訳されたり、院内感染なども「アウトブレイク」と呼ばれます。
対して、パンデミックは病気が世界の複数の地域で同時に大流行すること、一定の地域から周辺地域へ大きな広がりを見せる感染が世界的規模に発展した状態を指すときに使われるようです。
パンデミックが発生した例としては、例えば、ペスト(黒死病)、コレラなどがあり、2002年に流行したSARSもパンデミックになるおそれがあると危惧されました。
このような感染症の流行が始まる初期の段階で感染者が一気に発病することを「アウトブレイク」と呼ぶのがわかりやすいかもしれません。
インフルエンザ
インフルエンザウイルスを病原とする感染症で、一般的な風邪症候群とは別のものです。16世紀のイタリアの占星家たちは、周期的に流行する症状から、星や寒気の影響(influence)だと考え、これがインフルエンザの語源だと言われています。
これまで、香港A型、ソ連A型、B型インフルエンザの3種類のタイプが流行してきました。これらを季節性インフルエンザと呼びます。さらにその後、新型インフルエンザが流行し世界中に広がりました。季節性インフルエンザは、主として冬に流行するのですが、新型インフルエンザは冬だけでなく夏にも流行します。パンデミックを起こす可能性の最も高い感染症がインフルエンザなのです。